タンタルが「宇宙一希少な金属」と呼ばれる背景には、天然のタンタルにほんのわずかしか含まれない「タンタル180m」の存在があります。
タンタル180mは、同じタンタルでありながら、原子の中身が少し異なる仲間です。天然のタンタルに含まれる割合は約0.012%。自然界に存在するものの中でも特に希少で、現在まで崩壊が観測されていません。その寿命は、宇宙の年齢をはるかに超える可能性があると研究されています。
正確には、タンタルという金属全体が、宇宙で一番少ないという意味ではありません。ただ、元素としてのタンタル自体も希少です。世界の鉱物資源や地質を調べる米国の公的機関、米国地質調査所(USGS)によると、地殻の中に含まれる平均量は約0.7ppm。100万に対して約0.7という規模です。
さらに、地球の中にあればすぐ指輪にできるわけではありません。鉱石から探し出し、よく似た元素と分け、純度を高め、加工できる材料へ整える。その材料を、経験を積んだ職人が一本の指輪へ仕立てます。タンタルは、いくつもの狭い扉を通って指へ届く金属なのです。
手の中の小さなリングに、宇宙の年齢を超えるほど長い時間を秘めた原子が含まれている。「人とは違う素材を選びたい。でも、奇抜さではなく、ふたりにとって意味のある一本を選びたい」という方に、タンタルはほかにはない物語を与えてくれます。


